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zoom RSS 小樽新聞(昭和8年9月17日付)の新聞記事が出題された北海道大学の日本史の入試問題

<<   作成日時 : 2014/08/19 19:45   >>

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1999年(平成11年)の北海道大学 文系ー前期日程の日本史の入試問題に、1933年(昭和8年)9月17日の小樽新聞の新聞記事が出題されたので、載せておく。


1999年(平成11年)実施 北海道大学入学試験 前期日程 日本史

大問4  次の史料を読み, 下の設問に答えよ。

(A) 海軍軍法会議は, 五・一五事件の10人の被告に対し, 首謀者3人の死刑を含む求刑をおこなった。

下の史料は, これに対する国民の反応を示したものである。


 国民の最大関心をもって注目してゐる五・一五事件陸海軍被告に対する減刑嘆願運動は本道では道庁特高調査課によると, 小樽全日本護国連盟中心の二千名をはじめ旭川大本教, 昭和青年会旭川支部一千名, その他天塩, 野付牛, 釧路, 根室, 函館, 岩見沢, 幌別等々十六日現在ですでに一万人に達し, 目下なほ剣淵, 美深各村でも運動中であるが, こゝにこれについて涙ぐましい二つの挿話がある。(中略)他の一つは十六日午前道庁特高課に送られた。

これは少女の減刑嘆願書で

私は憂国の一少女であります。

この度の五・一五事件の被告御一同の減刑を御願致します。(中略)御一同が一死報国, 軍人の本分を尽されたのであります。

かしこくも明治天皇の御製に

国を思ふ道に二つはなかりけり

戦の庭に立つも立たぬも


といふものがございます。

戦争ばかりが本職ではありません。

彼等は世論に迷って本分を忘れたのではありません。

これこそ真の愛国心の発露であり, この決心こそは肉弾三勇士にも勝ります。

(1) 西洋文学にかぶれ奢侈ぜい沢に流れ, 私欲を満し遊びたはむれる薄志弱行の人間のみ多い現在, この人達は真の愛国の士であり, 真の日本魂を持った日本武人ではありませんか。

皇国の大恩人であります。

然し国法をおかした罪は勿論大でありますが, どうぞ(2) 彼等の至誠又国民一同の同情を含み, 御寛大なる御裁を切に御願ひ申上げます。


以下略

小樽新聞』 1933年9月17日

問1 (a) 五・一五事件で射殺された首相の姓名を答えよ。 

(b) またこの人物はかつて「閥族打破・憲政擁護」をかかげる政治運動で名を知られた。

この政治運動は何か。

問2 下線部(1)について, このころの出版文化の特徴について40字以内で説明せよ。

問3 下線部(2)のような表現がなされ, かつ減刑嘆願運動がかなり広範囲に広がった理由について50字以内で説明せよ。

問4 このころ軍部や政府は「一九三五, 三六年の危機」, 「非常時」をさかんに宣伝していた。

それはある条約の期限が1936年末をもって終了することを根拠としていた。

その条約名を一つ答えよ。


ブログなので、読みやすくするために改行を頻繁にした。


解答】問1(a) 犬養毅  (b) 第一次護憲運動  

問2 円本

岩波文庫の刊行や総合雑誌、週刊誌の発展など大衆を対象とする出版が展開した。(40字

問3 昭和恐慌や中国の排日運動の中で、政党や財閥に対する軍部の不満が国民にも支持されるようになったから。(49字

問4 ワシントン海軍軍縮条約


大学入試シリーズ 北海道大学 文系ー前期日程(文・教育・法・経済) 最近6カ年 2000年版』(教学社)p88の解答の,を、に直したもの。

なお, 1930年代前半の国内政治に関しては94年度〔4〕に類似問題が出題されている。 


大学入試シリーズ 北海道大学 文系ー前期日程(文・教育・法・経済) 最近6カ年 2000年版』(教学社)p88, 89の「ねらい

94年度〔4〕を
http://63164201.at.webry.info/201408/article_7.html
に載せた。

小樽新聞は、北海道新聞の前身である。


国家総動員法・新聞事業令に基づく新聞統制の結果、1942年に小樽新聞・北海タイムス・函館新聞・釧路新聞(いずれも戦後創刊された同名紙とは無関係)など道内各地の11紙が統合して誕生。 


北海道新聞』のWikipedia

問1(a)の解説を載せておく。

1932年5月15日には, 海軍の青年将校らが首相の犬養毅をおそって射殺した五・一五事件が起き, さらに1936年2月26日には, 陸軍の青年将校らが部隊を率いて大臣などを殺傷し, 一時東京の中心部を占拠した二・ニ六事件が起こった。

彼らは, 日本の行きづまりの原因は, 一部の重臣・財閥・政党などの腐敗にあるとし, これをたおして天皇と軍部を中心とする強力な政治を打ち立てようとした。

↑『中学社会 歴史』(文部省検定済教科書。中学校社会科用。教育出版。平成10年1月20日発行)p 249
読みやすくするために改行を頻繁にした。

問1(b)の解説を載せておく。

これは藩閥・陸軍の横暴として強い批判をまねき, 政友会の尾崎行雄, 立憲国民党の犬養毅らの代議士やジャーナリスト・弁護士らは, 「閥族打破・憲政擁護」のスローガンのもとに第1次護憲運動を展開した。

↑『日本史B 新訂版』(文部科学省検定済教科書。高等学校地理歴史科用。実教出版。平成14年1月25日発行)p 286

問2の解説を載せておく。

1920年代には, 文化の大衆化が著しくすすんだ。

出版では, 名作が安い価格で出版され(円本, 『岩波文庫』), また大衆文学の分野でも多数の読者を獲得し, ひろく読まれて人気を集めた。

その発表の舞台となったのは, 『キング』に代表される大衆雑誌や, 大量に部数を増大させた『大阪朝日新聞』, 『東京日日新聞』などのマスメディアであった。

週刊誌も『週刊朝日』, 『サンデー毎日』が創刊された。

↑『日本史B 新訂版』(文部科学省検定済教科書。高等学校地理歴史科用。実教出版。平成14年1月25日発行)p 309
読みやすくするために改行を頻繁にした。

問3の解説を載せておく。


日本の不景気

 第一次世界大戦後から続いていた日本の不景気は, 世界恐慌の影響も受けて, いっそう深刻になった。・・・中略・・・

国民の不満

・・・中略・・・一方, 財閥は, 倒産した会社や銀行を合併するなどして, ますます勢力を広げた。

財閥と政党政治家とは選挙資金などを通して強く結びつき, 利害にからむ汚職もしばしば起きた。

このため, 国民の間には, 政党政治や財閥に対する不満と不信が, 深く広がっていった。

中国革命の進展と日本

 このころ, 中国では蒋介石が共産党を弾圧し, 国民政府の手で中国をほぼ統一した。

日本政府と軍部は, これを好まず干渉したが失敗に終わった。

一方, 満州(今の中国東北部)でも, 日本にうばわれた権益を取りもどそうという動きが高まった。 

また, 台湾や朝鮮でも抗日運動が激しさを増した。

 これに対し, 日本国内では軍部や国家主義団体が, 「満州は日本の生命線である」とさけび, 恐慌による日本の危機を中国への侵略で打開しようとしていた。

財閥の中にも, 軍部と結んで大陸進出をくわだてる動きが広がった。

↑『中学社会 歴史』(文部省検定済教科書。中学校社会科用。教育出版。平成10年1月20日発行)p 246, 247
読みやすくするために改行を頻繁にした。

問3は、なぜ、大衆は、殺人犯を支持したのかという問題になる。

問題作成者が、上の新聞記事をわざわざ載せたことから判断すると、「新聞が無知な大衆をあおった」という内容はどこかに入れておくのが望ましい。

しかし、字数制限がきついので、「大衆のレベルが低く、新聞がそのような大衆をあおり、大衆がそのような主張をする新聞を買ったから。」という内容を入れることは難しい。

つまり、教科書に載っていることを要約して入れると、字数制限を超えるので、入れることができなかったのだろう。


小樽新聞の新聞記者が、「涙ぐましい二つの挿話」とわざわざ、「涙ぐましい」という感情を込めた修飾語をつけていることから、読者に、殺人犯を支持するようにあおっていることがわかる。

単に道庁特高課への投書を紹介しているだけならば、このような感情を込めた修飾語はつけない。


問4の解説を載せておく。

日本は1934年12月, ワシントン条約廃棄を通告し, 第2次ロンドン海軍軍縮会議から1936年1月に脱退して, 同年末, ワシントン・ロンドン両条約は満期失効した。

海軍は巨大戦艦大和・武蔵などの建造に着手し, 陸軍も師団大増設をはかった。

↑『日本史B 新訂版』(文部科学省検定済教科書。高等学校地理歴史科用。実教出版。平成14年1月25日発行)p 317
読みやすくするために改行を頻繁にした。


1999年(平成11年)の北海道大学文学部の前期日程の二次試験

外国語:「英語T・U・リーディングリスニングを含む)」(90分。大問4題), ドイツ語, フランス語, 中国語から1科目選択:100点

選択:日本史B(90分。大問4題), 世界史B(90分。大問4題), 地理B(90分。大問4題), 倫理(90分。大問4題), 「数学T・U・A・B」(90分。大問4題)から1科目選択:100点

国語(150分。大問5題):国語T・U, 現代文, 古典T・U:150点

選択をする受験科目は出願時に届け出, 出願後の選択科目の変更は認めない。

なお, 地理歴史(日本史B, 世界史B, 地理B)は大学入試センター試験で受験しなかった科目を選択しなければならない。

数学A」は「数と式・数列」, 「数学B」は「ベクトル」か「複素数と複素数平面」(「ベクトル」, 「複素数と複素数平面から出題するときは, この両方から出題し, 選択解答させる)からそれぞれ出題する。












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